「優秀」な医療機関はごく一部、医療のビッグデータが示す現実とは:JBpress(日本ビジネスプレス)
あまり知られていませんが、日本では2011年より「National clinical data base(NCD)」として、年間120万件にも及ぶ全国の医療機関で行われた手術のデータが蓄積されています。
実に外科で行われている全身麻酔手術の90%以上が登録されており、これにより全国の施設別、医師別の手術成績を比較することが可能です。
網羅性の高さと症例数の多さから、多彩な成果を生み出しうる世界的にも注目を集める「日本医療のビッグデータ」と言ってよいでしょう。
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この「手術成績」と呼ばれるものは、実のところ各病院の「手術の腕」だけを評価するものではないというのに気付かないとデータを見ても混乱するだけだと思います。
例えば自動車事故で頭を打って頭蓋内出血を起こした場合などは、それぞれの病院に勤める医師の腕よりも、病院まで搬送される時間の長短の方が大きく術後の状態を左右するでしょうす。5分で手術が始められるのと病院につくのに30分かかるのでは、どう考えても前者の方が予後が良くなる可能性は高いのです。こうなってしまうと医者の腕は、ほぼ関係なくなります。
この世には「客観的なデータ」などというモノは存在しません。どんなデータにも必ず色付けや方向性、情報取得範囲による偏向性などがあり、そこには主観的な意図が必ず含まれてきます。
ビジネスの現場でも、様々なデータを活用しますが、その事を理解していないと、目の前の落とし穴にずっぽりとはまるような事態が巻き起こすことになるでしょう。