NECネクサソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長:鈴木良隆)と富士ゼロックス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 忠人)は、中堅病院向けに診療記録管理のソリューション提供で連携することを合意しました。
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20年ぐらい前にアメリカの病院を見学しに行った事がありました。それほど長時間見学したわけでもないのですが、説明によるとその病院では、ほぼペーパーレス化が済んでいるとの事で、実際に紙媒体の医療記録や看護記録などは、どこにも置いていなかったのを覚えています。
しかしながら、電子カルテなどによるペーパーレス化は日本において進んでいるという話はあまり聞きません。部分的にパソコンやネットワークを使っているだけなら大部分の病院がそうなのですが、ペーパーレスと言えるような状況ではないです。
20年前のアメリカの技術で出来るような事が、現在日本で出来ないとは思えませんから、この原因はハードウェア的なものではなく、ソフトウェア的な部分に要因があるのではないかと思います。ここで言うソフトウェアとは、コンピュータのプログラム的なモノではなく、業務手順や業務の標準化などのソフトウェア部分の事です。
どんな内容であれ、業務をコンピューターで“効率良く処理”をさせようとする場合、「例外」というものは極力少なくし、行う業務をコンピューター内にインプットしてある内容に統一する必要があります。しかしながら、その過程がうまくいかない事が多いようです。
これをうまく行かせるためには、「この病院で行うサービスはここまで!」的な割り切りが必要だったりするのですが、大抵の医療の現場では採算度外視で問題をすべて解決しようと抱え込んでしまうのです。また、職人気質というか国民総クリエイター気質というか、自分たちから例外事項をどんどん増やしてしまう傾向もあり(その分日本のサービス業が海外から絶賛されたりするわけですが)、コンピューターとは非常に相性が悪かったりします。
あとは病院規模や地域の特性もあるかもしれません。基本的に大都市の大きな病院は若い人も多くコンピューターになじみのある人も多いため、導入しやすそうに見えますが、人数が多いと業務の標準化はしにくく、結局むしろ導入しにくいという結果が出ます。また小規模の病院では若手の看護師などはなかなか来ないため高齢の職員が多くなり、意見統一はしやすくても、コンピューターの導入が難しかったりします。
他にも医局や看護部、事務総務、その他部門間での指揮命令系統が縦割りで構成され病院全体で統一した動きがしにくい事など色々と内部事情もあり、その事も導入の妨げになっているようです。
実の所、今現在の病院にはいなくて電子カルテやコンピュータの導入によるペーパーレス化を行うために一番必要な人材は、コンピュータや様々な医療技術・看護技術・医療事務に詳しい専門家ではなく、営業能力の高い人、つまり各部門間を調整しながら導入を売り込めるいわばスーパーネゴシエーター的な人材じゃないかと思います。
そして、これを前提に考えると、なぜアメリカでは導入できて日本では導入が難しいのかが分かってきます。アメリカの教育では議論をして意見を通すというような教育は一般教養の中に入ってきますが、日本ではほとんどやらない分野なのですよね。
まあ、この為だけに今から日本全体の教育内容を改革する事を検討するのは、現実的ではないので(国という単位で見た場合、将来の発展のために必須ではありますが)まずは、その社内営業ができる人物を雇い入れるのが適切ではありますでしょう。
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